8.64. IPRoute2-6.4.0

IPRoute2 パッケージは IPV4 ベースの基本的または応用的ネットワーク制御を行うプログラムを提供します。

概算ビルド時間: 0.1 SBU
必要ディスク容量: 17 MB

8.64.1. IPRoute2 のインストール

本パッケージにて提供している arpd プログラムは LFS では取り扱わない Berkeley DB に依存しています。 したがって arpd プログラムはインストールしません。 ただし arpd プログラムに対応するディレクトリや man ページはインストールされてしまいます。 これをインストールしないように、以下のコマンドを実行します。 (arpd プログラムを必要とする場合は BLFS ブックの https://www.linuxfromscratch.org/blfs/view/stable-systemd/server/db.html#db に示される Berkeley DB の構築手順に従ってください。)

sed -i /ARPD/d Makefile
rm -fv man/man8/arpd.8

パッケージをコンパイルします。

make NETNS_RUN_DIR=/run/netns

本パッケージには有効なテストスイートはありません。

パッケージをインストールします。

make SBINDIR=/usr/sbin install

必要な場合はドキュメントをインストールします。

mkdir -pv             /usr/share/doc/iproute2-6.4.0
cp -v COPYING README* /usr/share/doc/iproute2-6.4.0

8.64.2. IPRoute2 の構成

インストールプログラム: bridge, ctstat (lnstat へのリンク), genl, ifstat, ip, lnstat, nstat, routel, rtacct, rtmon, rtpr, rtstat (lnstat へのリンク), ss, tc
インストールディレクトリ: /etc/iproute2, /usr/lib/tc, /usr/share/doc/iproute2-6.4.0

概略説明

bridge

ネットワークブリッジを設定します。

ctstat

接続ステータスの表示ユーティリティ。

genl

汎用的な netlink ユーティリティフロントエンド。

ifstat

インターフェースの統計情報を表示します。 インターフェースによって送受信されたパケット量が示されます。

ip

主となる実行モジュールで、複数の機能性を持ちます。 以下のようなものです。

ip link <デバイス名> はデバイスのステータスを参照し、またステータスの変更を行います。

ip addr はアドレスとその属性を参照し、新しいアドレスの追加、古いアドレスの削除を行います。

ip neighbor は隣接ルーター (neighbor) の割り当てや属性を参照し、隣接ルーターの項目追加や古いものの削除を行います。

ip rule はルーティングポリシー (routing policy) を参照し、変更を行います。

ip route はルーティングテーブル (routing table) を参照し、ルーティングルール (routing table rule) を変更します。

ip tunnel は IP トンネル (IP tunnel) やその属性を参照し、変更を行います。

ip maddr はマルチキャストアドレス (multicast address) やその属性を参照し、変更を行います。

ip mroute はマルチキャストルーティング (multicast routing) の設定、変更、削除を行います。

ip monitor はデバイスの状態、アドレス、ルートを継続的に監視します。

lnstat

Linux のネットワーク統計情報を提供します。 これはかつての rtstat プログラムを汎用的に機能充足を図ったプログラムです。

nstat

ネットワーク統計情報を表示します。

routel

ip route のコンポーネント。 これはルーティングテーブルの一覧を表示します。

rtacct

/proc/net/rt_acct の内容を表示します。

rtmon

ルート監視ユーティリティー。

rtpr

ip -o コマンドにより出力される内容を読みやすい形に戻します。

rtstat

ルートステータスの表示ユーティリティー。

ss

netstat コマンドと同じ。 アクティブな接続を表示します。

tc

QoS (Quality Of Service) と CoS (Class Of Service) を実装するトラフィック制御です。

tc qdisc はキューイング規則 (queueing discipline) の設定を行います。

tc class はキューイング規則スケジューリング (queueing discipline scheduling) に基づくクラスの設定を行います。

tc filter は、QOS/COS パケットのフィルタリング設定を行います。

tc monitor は、カーネル内のトラフィック制御に対して行われた変更を参照するために用いられます。