8.51.1. Python 3 のインストール
        
        
          Python をコンパイルするための準備をします。
        
        ./configure --prefix=/usr          \
            --enable-shared        \
            --with-system-expat    \
            --enable-optimizations \
            --without-static-libpython
        
          
            configure オプションの意味
          
          
            - 
              --with-system-expat
- 
              
                本スイッチは、システムにインストールされている Expat をリンクすることを指示します。
               
- 
              --enable-optimizations
- 
              
                本スイッチは、拡張的ではあるものの高くつく最適化を有効にします。 インタープリターは二度ビルドされます。 そこでは 1
                回めのビルドにて実施されるテストを用いて、最適化された最終バージョンが適正化されます。
               
 
        
          パッケージをコンパイルします。
        
        make
        
          テストの中には不安定でありハングするものがあります。 そういったものをテストする場合は、各テストケースにおいて 2
          分以内の制限をかけてテストスイートを実行してください。
        
        make test TESTOPTS="--timeout 120"
        
          比較的遅いシステムの場合は、その時間制限を増やせば 1 SBU (1 コアを使った Binutils 1 回目のビルド時間)
          で処理できるはずです。 テストの中には一風変わったものがあって、自動的に再実行された上で失敗するものがあります。
          一度失敗して再実行の際に成功したものは、テストが成功したものとみなすことができます。 test_ssl というテストが chroot
          環境内では失敗します。
        
        
          パッケージをインストールします。
        
        make install
        
          Python 3 プログラムやモジュールをインストールする際には、全ユーザー向けのインストールを行うために root ユーザーになって pip3 コマンドを用いています。 このことは Python
          開発者が推奨している、仮想環境内にて一般ユーザーにより(そのユーザーが pip3
          を実行することで)パッケージビルドを行う方法とは相容れないものです。 これを行っているため、root ユーザーとして pip3 を用いると、警告メッセージが複数出力されます。
        
        
          開発者がなぜその方法を推奨しているかというと、システムパッケージマネージャー(たとえば dpkg)などと衝突が発生するからです。 LFS
          ではシステムワイドなパッケージマネージャーを利用していないため、このことは問題となりません。 また pip3
          そのものが、自分の最新版が存在していないかどうかを実行時に確認します。 LFS の chroot
          環境においては、ドメイン名解決がまだ設定されていないので、最新版の確認は失敗して警告が出力されます。
        
        
          LFS システムを再起動してネットワーク設定を行えば、(最新版の入手可能時にはいつでも)あらかじめビルドされていた wheel を
          PyPI から更新するような警告メッセージが示されます。 もっとも LFS では pip3 を Python 3
          の一部として考えるので、個別に更新しないでください。 したがってあらかじめビルドされた wheel を更新することは、ソースコードから
          Linux システムをビルドするという目的から逸脱してしまいます。 このことから、pip3 の最新版を求める警告は無視してください。
          警告メッセージを省略したい場合は、以下のコマンドを実行します。 ここでは設定ファイルを生成します。
        
        cat > /etc/pip.conf << EOF
[global]
root-user-action = ignore
disable-pip-version-check = true
EOF
        
          ![[重要]](../images/important.png) 
          
            重要
          
          
            LFS や BLFS においては通常、Python モジュールのビルドとインストールには pip3 コマンドを用いています。
            この両ブックにおいて実行する pip3
            install コマンドは、(Python 仮想環境内でない場合には) root ユーザーで実行するようにしてください。 root ユーザー以外によって pip3 install
            を実行しても問題なく動作するように見えるかもしれませんが、インストールしたモジュールが別のユーザーからはアクセスできない事態を作り出してしまいます。
          
          
            pip3 install
            は、すでにインストールされているモジュールを自動的に再インストールすることは行いません。 pip3 install
            コマンドを使ってモジュールのアップグレードを行う(たとえば meson-0.61.3 から meson-0.62.0
            にするような場合)には、コマンドラインに --upgrade オプションを含めてください。
            またモジュールのダウングレードや再インストールが必要となる理由が確実にあるのであれば、コマンドラインに --force-reinstall --no-deps
            を含めて実行してください。
          
         
        
          必要なら、整形済みドキュメントをインストールします。
        
        install -v -dm755 /usr/share/doc/python-3.13.7/html
tar --strip-components=1  \
    --no-same-owner       \
    --no-same-permissions \
    -C /usr/share/doc/python-3.13.7/html \
    -xvf ../python-3.13.7-docs-html.tar.bz2
        
          
            ドキュメント install コマンドの意味
          
          
            - 
              --no-same-ownerと--no-same-permissions
- 
              
                インストールするファイルの所有者とパーミッションを適切に設定します。 このオプションがないと tar
                によって展開されるファイルは、アップストリームが作り出した値になってしまいます。