8.73.1. Vim のインストール
設定ファイル vimrc
がインストールされるデフォルトディレクトリを
/etc
に変更します。
echo '#define SYS_VIMRC_FILE "/etc/vimrc"' >> src/feature.h
Vim をコンパイルするための準備をします。
./configure --prefix=/usr
パッケージをコンパイルします。
make
コンパイル結果をテストするために、tester
ユーザーがソースツリーに書き込みできるようにします。
chown -R tester .
tester
ユーザーによりテストを実行します。
su tester -c "TERM=xterm-256color LANG=en_US.UTF-8 make -j1 test" \
&> vim-test.log
このテストスイートは数多くのバイナリデータを端末画面上に出力します。 これは端末画面の設定によっては問題を引き起こします。
(特にテストスイートの要請を満たすため TERM
変数を上書きしている場合などです。) これを避けるには、上に示すように出力をリダイレクトしてログファイルに出力するようにしてください。
テストが成功すれば、ログファイルの最後に ALL DONE
と表示されます。
パッケージをインストールします。
make install
たいていのユーザーは vim
ではなく、いわば反射的に vi
を使うようです。 vi を入力しても
vim
が実行されるように、実行モジュールに対するシンボリックリンクを作成します。 さらに指定された言語による man
ページへのシンボリックリンクも作成します。
ln -sv vim /usr/bin/vi
for L in /usr/share/man/{,*/}man1/vim.1; do
ln -sv vim.1 $(dirname $L)/vi.1
done
デフォルトでは Vim のドキュメントが /usr/share/vim
にインストールされます。 以下のようなシンボリックリンクを生成することで /usr/share/doc/vim-9.1.0660
へアクセスしてもドキュメントが参照できるようにし、他のパッケージが配置するドキュメントの場所と整合を取ります。
ln -sv ../vim/vim91/doc /usr/share/doc/vim-9.1.0660
LFS システムに対して X ウィンドウシステムをインストールする場合 X のインストールの後で Vim
を再コンパイルする必要があります。 vim には GUI 版があり X や他のライブラリがインストールされていて
初めて構築できるためです。 この作業の詳細については Vim のドキュメントと BLFS ブックの
https://www.linuxfromscratch.org/blfs/view/stable-systemd/postlfs/vim.html
に示されている Vim のインストール説明のページを参照してください。
8.73.2. Vim の設定
デフォルトで vim は vi
非互換モード (vi-incompatible mode) で起動します。
他のエディターを使ってきたユーザーにとっては、よく分からないものかもしれません。 以下の設定における「nocompatible」(非互換) は、Vi
の新しい機能を利用することを意味しています。 もし「compatible」(互換)
モードに変更したい場合は、この設定ファイルの冒頭にて行っておくことが必要です。
このモード設定は他の設定を置き換えるものとなることから、まず初めに行っておかなければならないものだからです。 以下のコマンドを実行して
vim の設定ファイルを生成します。
cat > /etc/vimrc << "EOF"
" Begin /etc/vimrc
" Ensure defaults are set before customizing settings, not after
source $VIMRUNTIME/defaults.vim
let skip_defaults_vim=1
set nocompatible
set backspace=2
set mouse=
syntax on
if (&term == "xterm") || (&term == "putty")
set background=dark
endif
" End /etc/vimrc
EOF
set nocompatible
と設定しておくと
vi 互換モードでの動作に比べて有用な動作となります。(これがデフォルトになっています。) その設定の記述から「no」の文字を取り除けば、旧来の
vi コマンドの動作となります。
set backspace=2
を設定しておくと、行を超えてもバックスペースキーによる編集が可能となります。
またインデントが自動的に行われ、コマンド起動時には自動的に挿入モードとなります。 syntax on
パラメーターを指定すれば vim の文法ハイライト
(syntax highlighting) 機能が有効になります。 set
mouse=
を指定すると chroot
環境やリモート接続時であってもマウスによるテキスト選択が適切になります。 最後にある if 文は、set
background=dark
を指定した場合に、特定の端末エミュレーター上において vim が背景色を誤って認識しないようにするためのものです。
エミュレーターの背景色が黒色であった場合に、より適切なハイライトが実現できます。
この他に利用できるオプションについては、以下のコマンドを実行することで出力される説明を参照してください。
vim -c ':options'
注記
Vim がインストールするスペルチェックファイルはデフォルトでは英語に対するものだけです。
必要とする言語のスペルチェックファイルをインストールするなら runtime/spell
から、特定の言語、エンコーディングによる *.spl
ファイル、またオプションとして *.sug
ファイルを /usr/share/vim/vim91/spell/
にコピーしてください。
スペルチェックファイルを利用するには /etc/vimrc
ファイルにて、例えば以下のような設定が必要になります。
set spelllang=en,ru
set spell
詳しくは runtime/spell/README.txt
を参照してください。