Linux のこれまでの経緯として、マウントされているファイルシステムの情報は /etc/mtab
ファイルに保持されてきました。 最新の Linux
であれば、内部的にこのファイルを管理し、ユーザーに対しては /proc
ファイルシステムを通じて情報提示しています。 /etc/mtab
ファイルの存在を前提としているプログラムが正常動作するように、以下のシンボリックリンクを作成します。
ln -sv /proc/self/mounts /etc/mtab
テストスイートの中に /etc/hosts
ファイルを参照するものがあるので、単純なものをここで生成します。 これは Perl の設定ファイルにおいても参照されます。
cat > /etc/hosts << EOF
127.0.0.1 localhost $(hostname)
::1 localhost
EOF
root
ユーザーがログインできるように、またその「root」という名称を認識できるように
/etc/passwd
ファイルと /etc/group
ファイルには該当する情報が登録されている必要があります。
以下のコマンドを実行して /etc/passwd
ファイルを生成します。
cat > /etc/passwd << "EOF"
root:x:0:0:root:/root:/bin/bash
bin:x:1:1:bin:/dev/null:/usr/bin/false
daemon:x:6:6:Daemon User:/dev/null:/usr/bin/false
messagebus:x:18:18:D-Bus Message Daemon User:/run/dbus:/usr/bin/false
systemd-journal-gateway:x:73:73:systemd Journal Gateway:/:/usr/bin/false
systemd-journal-remote:x:74:74:systemd Journal Remote:/:/usr/bin/false
systemd-journal-upload:x:75:75:systemd Journal Upload:/:/usr/bin/false
systemd-network:x:76:76:systemd Network Management:/:/usr/bin/false
systemd-resolve:x:77:77:systemd Resolver:/:/usr/bin/false
systemd-timesync:x:78:78:systemd Time Synchronization:/:/usr/bin/false
systemd-coredump:x:79:79:systemd Core Dumper:/:/usr/bin/false
uuidd:x:80:80:UUID Generation Daemon User:/dev/null:/usr/bin/false
systemd-oom:x:81:81:systemd Out Of Memory Daemon:/:/usr/bin/false
nobody:x:65534:65534:Unprivileged User:/dev/null:/usr/bin/false
EOF
root
ユーザーに対する本当のパスワードは後に定めます。
以下のコマンドを実行して /etc/group
ファイルを生成します。
cat > /etc/group << "EOF"
root:x:0:
bin:x:1:daemon
sys:x:2:
kmem:x:3:
tape:x:4:
tty:x:5:
daemon:x:6:
floppy:x:7:
disk:x:8:
lp:x:9:
dialout:x:10:
audio:x:11:
video:x:12:
utmp:x:13:
cdrom:x:15:
adm:x:16:
messagebus:x:18:
systemd-journal:x:23:
input:x:24:
mail:x:34:
kvm:x:61:
systemd-journal-gateway:x:73:
systemd-journal-remote:x:74:
systemd-journal-upload:x:75:
systemd-network:x:76:
systemd-resolve:x:77:
systemd-timesync:x:78:
systemd-coredump:x:79:
uuidd:x:80:
systemd-oom:x:81:
wheel:x:97:
users:x:999:
nogroup:x:65534:
EOF
作成するグループは何かの標準に基づいたものではありません。 一部は 9 章の udev の設定に必要となるものですし、一部は既存の
Linux ディストリビューションが採用している慣用的なものです。
またテストスイートにて特定のユーザーやグループを必要としているものがあります。 Linux Standard Base
(https://refspecs.linuxfoundation.org/lsb.shtml
参照) では root
グループのグループID (GID) は
0、bin
グループの GID は 1 を定めているにすぎません。 GID
5 は tty
グループに対して広く用いられています。 また数値 5 は
devpts
ファイルシステムに対して systemd においても用いられています。 他のグループとその GID
はシステム管理者が自由に取り決めることができます。 というのも通常のプログラムであれば GID
の値に依存することはなく、あくまでグループ名を用いてプログラミングされているからです。
ID 65534 は NFS のカーネルが利用し、マップされていないユーザーやグループに対するユーザー名前空間を切り分けます (これは
NFS サーバー上や親のユーザー空間に存在しますが、ローカルマシンや分離された名前空間には存在しません)。 未割り当ての ID
を避けるために、この ID を nobody
と nogroup
に用いることにします。 他のディストリビューションにおいては、この ID
を異なる用い方をしている場合があるため、移植性を考慮するプログラムでは、ここでの割り当てに依存しないようにしてください。
第 8 章 におけるテストの中には、通常のユーザーを必要とするものがあります。 ここでそういったユーザーをここで追加し、その章の最後には削除します。
echo "tester:x:101:101::/home/tester:/bin/bash" >> /etc/passwd echo "tester:x:101:" >> /etc/group install -o tester -d /home/tester
プロンプトの「I have no
name!」を取り除くために新たなシェルを起動します。 /etc/passwd
ファイルと /etc/group
ファイルを作ったので、ユーザー名とグループ名の名前解決が適切に動作します。
exec /usr/bin/bash --login
login、agetty、init といったプログラム (あるいは他のプログラム) は、システムに誰がいつログインしたかといった情報を多くのログファイルに記録します。 しかしログファイルがあらかじめ存在していない場合は、ログファイルの出力が行われません。 そこでそのようなログファイルを作成し、適切なパーミッションを与えます。
touch /var/log/{btmp,lastlog,faillog,wtmp} chgrp -v utmp /var/log/lastlog chmod -v 664 /var/log/lastlog chmod -v 600 /var/log/btmp
/var/log/wtmp
ファイルはすべてのログイン、ログアウトの情報を保持します。 /var/log/lastlog
ファイルは各ユーザーが最後にログインした情報を保持します。
/var/log/faillog
ファイルはログインに失敗した情報を保持します。 /var/log/btmp
ファイルは不正なログイン情報を保持します。
wtmp
, btmp
, lastlog
の各ファイルでは、32 ビットの整数値を使ってタイムスタンプを表現していますが、これは 2038 年以降には基本的に壊れるでしょう。
多くのパッケージにおいてはこういった利用を停止しており、その他についても順次停止予定です。
したがってこういった表記は非推奨であると捉えるべきです。