6.1. はじめに

本章では、つい先ほど作り出したクロスツールチェーンを利用して、基本ユーティリティーをクロスコンパイルする方法を示します。 このユーティリティーは最終的な場所にインストールされますが、まだ利用することはできません。 基本的な処理タスクは、まだホストのツールに依存します。 ただしインストールされたライブラリは、リンクの際に利用されます。

ユーティリティーの利用は次の章において、chroot環境に入ってから可能になります。 ただしそこに至る前の章の中で、パッケージをすべて作り出しておく必要があります。 したがってホストシステムからは、まだ独立している状態ではありません。

ここでもう一度確認しておきますが、root ユーザーとしてビルドを行う際にも LFS の適切な設定が必要です。 それができていないと、コンピューターが利用できなくなる可能性があります。 本章は全体にわたって、lfs ユーザーにより操作します。 環境は 「環境設定」 に示したものとなっている必要があります。