5.2. Binutils-2.41 - 1回め

Binutils パッケージは、リンカーやアセンブラーなどのようにオブジェクトファイルを取り扱うツール類を提供します。

概算ビルド時間: 1 SBU
必要ディスク容量: 647 MB

5.2.1. クロスコンパイル版 Binutils のインストール

[注記]

注記

全般的なコンパイル手順 と書かれた節に戻って再度説明をよく読み、重要事項として説明している内容をよく理解しておいてください。 そうすればこの後の無用なトラブルを減らすことができるはずです。

Binutils は一番最初にビルドするパッケージです。 ここでビルドされるリンカーやアセンブラーを使って、Glibc や GCC のさまざまな機能が利用できるかどうかを判別することになります。

Binutils のドキュメントでは Binutils をビルドする際に、ビルド専用のディレクトリを使ってビルドすることを推奨しています。

mkdir -v build
cd       build
[注記]

注記

本節以降で SBU値を示していきます。 これを活用していくなら、本パッケージの configure から初めのインストールまでの処理時間を計測しましょう。 具体的には処理コマンドを time で囲んで time { ../configure ... && make && make install; } と入力すれば実現できます。

Binutils をコンパイルするための準備をします。:

../configure --prefix=$LFS/tools \
             --with-sysroot=$LFS \
             --target=$LFS_TGT   \
             --disable-nls       \
             --enable-gprofng=no \
             --disable-werror

configure オプションの意味

--prefix=$LFS/tools

configure スクリプトに対して Binutils プログラムを $LFS/tools ディレクトリ以下にインストールすることを指示します。

--with-sysroot=$LFS

クロスコンパイル時に、ターゲットとして必要となるシステムライブラリを $LFS より探し出すことを指示します。

--target=$LFS_TGT

変数 LFS_TGT に設定しているマシン名は config.guess スクリプトが返すものとは微妙に異なります。 そこでこのオプションは、binutils のビルドにあたってクロスリンカーをビルドするように configure スクリプトに指示するものです。

--disable-nls

一時的なツール構築にあたっては i18n 国際化は行わないことを指示します。

--enable-gprofng=no

これは gprofng のビルドを無効にします。 gprofng は一時的ツールにおいては不要であるからです。

--disable-werror

ホストのコンパイラーが警告を発した場合に、ビルドが中断することがないようにします。

パッケージをコンパイルします。

make

パッケージをインストールします。

make install

本パッケージの詳細は 「Binutils の構成」を参照してください。