LFS の構成は出来る限り Linux の各種標準に従うようにしています。 主な標準は以下のものです。
Linux Standard Base (LSB) Version 5.0 (2015)
LSB はさらに以下の4つの仕様から構成されます。 コア (Core)、デスクトップ (Desktop)、ランタイム言語 (Runtime Languages)、画像処理 (Imaging) です。 コアとデスクトップの中には、アーキテクチャーに固有の要求事項もあります。 Gtk3 やグラフィックスという二項目に関しての試しの仕様も含んでいます。 LFS では前節にて示したように、IA32 (32 ビット x86) や AMD64 (x86_64) アーキテクチャーに対応する LSB 仕様への適合を目指しています。
このような要求に対しては異論のある方も多いでしょう。 LSB の目的は、私有ソフトウェア (proprietary software) をインストールした場合に、要求事項を満たしたシステム上にて問題なく動作することを目指すためです。 LFS はソースコードから構築するシステムですから、どのパッケージを利用するかをユーザー自身が完全に制御できます。 また LSB にて要求されているパッケージであっても、インストールしない選択をとることもできます。
LFS の構築にあたっては LSB に適合していることを確認するテスト (certifications tests) を "一から" クリアしていくように構築することも可能です。 ただし LFS ブックの範囲外にあるパッケージ類を追加しなければ実現できません。 そのような追加パッケージ類については、おおむね BLFS にて導入手順を説明しています。
LSB コア: |
Bash, Bc, Binutils, Coreutils, Diffutils, File, Findutils, Gawk, Grep, Gzip, M4, Man-DB, Ncurses, Procps, Psmisc, Sed, Shadow, Tar, Util-linux, Zlib |
LSB デスクトップ: |
なし |
LSB ランタイム言語: |
Perl, Python |
LSB 画像処理: |
なし |
LSB Gtk3、LSB グラフィックス (試用): |
なし |
LSB コア: |
At, Batch (At の一部), Cpio, Ed, Fcrontab, LSB-Tools, NSPR, NSS, PAM, Pax, Sendmail (または Postfix または Exim), time |
LSB デスクトップ: |
Alsa, ATK, Cairo, Desktop-file-utils, Freetype, Fontconfig, Gdk-pixbuf, Glib2, GTK+2, Icon-naming-utils, Libjpeg-turbo, Libpng, Libtiff, Libxml2, MesaLib, Pango, Qt4, Xdg-utils, Xorg |
LSB ランタイム言語: |
Libxml2, Libxslt |
LSB 画像処理: |
CUPS, Cups-filters, Ghostscript, SANE |
LSB Gtk3、LSB グラフィックス (試用): |
GTK+3 |
LSB コア: |
なし |
LSB デスクトップ: |
Qt4 (Qt5 が提供されている) |
LSB ランタイム言語: |
なし |
LSB 画像処理: |
なし |
LSB Gtk3、LSB グラフィックス (試用): |
なし |